居場所をください。




「五十嵐さん、お願いします。」


「はい。」


押していたのか

ディレクターさんが楽屋まで迎えに来て

私はやっとスタジオ入り。

トークもある。でも先に歌からだ。

せっかく喉も整えたしね。


「五十嵐美鈴さん入りまーす!」


ふぅー、よし。

上手く歌おうなんて思わなくていい。

叫んで、叫んで、ちゃんと伝えろ。


そう、水木先生に言われたことを胸に刻み

カメラが回って音楽が流れてきて

私は今日、初めてカメラの前で歌った。


私の中に封印してきたこの歌を

初めてここで解き放した。

長曽我部さんが目標としたここで

私は全力で伝わるように

歌を歌おう。


「━━はい、オッケーです。」


…ふぅ、一発だ。よかった。

とにかく時間がないからね。


「次はあちらにお願いします。」


「はい。」


それが終われば今度はインタビュー。

まぁこれはすぐに終わる。

なんてったって私の枠は数分しかないんだから。