佐藤さんからヘッドホンを受け取り、
さっそくパソコンにディスクをいれ
このデータを再生した。
"あれ、映ってるのかな"
画面が真っ暗なのに聞こえる
夏希さんの声。
そのあとガサガサっと音がなり、
画面が明るくなったかと思えば
そこにはベッドに座る、夏希さんの姿。
『えー、五十嵐美鈴さん。
お久しぶりです!瞬の嫁の夏希です。
えーと、昨日は瞬をありがとうございました。
予定日が12月31日だったので、
立ち会い出産なんて絶対無理だと思っていました。
瞬が仕事頑張ってくれてるから
私も頑張らなきゃって意気込みで
陣痛と戦っていたんですけど
電話して一時間で瞬が病院に来て
本当にビックリしました。
どうしたのって聞くと瞬は
子供を大切にしない親は嫌いだって
美鈴ちゃんに追い出されたって言ってて
最初はダンサーをはずされたのかって
ちょっと不安になっちゃいました。
瞬の言い方が悪かったんですけどね。
でもそのあとすぐに、
俺はいい人に拾われたわ、って笑っていってて
そういうことか、と納得しました。
……本番直前にも関わらず
瞬が帰ることを許していただき
本当にありがとうございます。
出産の時に瞬がいてもいなくても
正直、変わらないと思っていました。
二人目だし、いなくてもいいやって。
……でも、帰ってきてくれて
やっぱり私は嬉しかった。
産むときは一人だけど、でもひとりじゃない。
なにもできない瞬でも、いてくれるだけで
全然違うんだなって思えました。
だから、美鈴ちゃんには本当に感謝しています。
ありがとうございます。』
夏希さんはそういって
頭を下げた。


