……出産、か。
瞬も二児のパパか。早いなぁ…
「瞬のやつ、どうした?」
いつまでも立って
閉じられたドアを見送っている私に
長曽我部さんが話しかけてきた。
「…子供、産まれそうなんだって。
だから帰した。……いいよね?」
「……美鈴らしいな。」
「子供の誕生に立ち会えないなら
そんな仕事、私が辞めてやるもん。
とにかく今でよかったよ。
それなりに形にもなってて
本番でもなくてさ。」
「もし今日これから本番だったら
どうするつもりなわけ?」
「そんなの、結果は変わらないよ。
主役は私だもん。」
たとえそうなったとしても
瞬は絶対に帰らせるよ。
瞬がいなくてもなんとかなる
そんな風には思えないけど……
家庭を一番に考える人であってほしい。
子供に寂しい思いをしてほしくないから。
たとえそうなったとしても
ここまで頑張ってきた仲間に
お金を払わないなんてこともしないしね。
「よーし、瞬が帰ってきたとき
絶対びっくりするくらい
ダンス頑張っちゃうかな~」
「瞬がいたとしても
いつもそのくらい頑張れよ。」
……やっぱり鬼は厳しいけど。


