居場所をください。




「私、ずっと施設で育ってきたから

家族ってものに人一倍、憧れがあるんです。

長曽我部さんに拾われた日、

長曽我部さんは私に"俺が咲かせてやる"

って言ったんです。

歌手として、成功させるって意味で。

それでデビューした翌日には

私の親のことがわかって、自動的に

長曽我部さんが私の兄だと言うことも知りました。

それを知った私に、長曽我部さんは

私の居場所はここだと言いました。

私の唯一の家族だって

言ってくれたこともありました。

それから私は長曽我部さんを信じて

長曽我部さんのそばにずっといました。

なにかあればすぐに長曽我部さんを頼って…

私の一番はいつだって長曽我部さんでした。

でも長曽我部さんにとってはそうじゃなかった。

……長曽我部さんって、自分のことを

私には全然話してくれないんです。

こちらからしつこく聞き出さないと教えない。

だけど里美さんとか、子供の弘希には

仕事の話とかプライベートのこととか

色々話してるみたいで……


長曽我部さんはいつだって私に一生懸命です。

だけどそれは仕事のことばかりで……

…弘希から、長曽我部さんが結婚を決めた理由を

聞いたんですけど、長曽我部さん

仕事も忙しくなくなるから、って言ったんです。

仕事も忙しくなくなるからって……

……長曽我部さん、もうすぐ私から外れます。

私のマネージャーじゃなくなる。

私から外れた数日後に長曽我部さんは結婚する。

結局私は長曽我部さんの幸せを

どこまでも邪魔してたんです。」


何回も、何回も、

私は長曽我部さんの邪魔をしてきた。

そんなことに、私はようやく気づいたんだ。