居場所をください。




━━そして長曽我部さんは

30分ほどして戻ってきた。


「あ、そういえば今日私テレビでるよね?」


「あー、歌のスペシャルな。

録画だからこっちとしてはあんま関係ねーけど。」


「貴也、時間あったら見てね。」


「おう。何時から?」


「……それは長曽我部さんに。」


スケジュールすら記憶できないのに

さすがに自分の出演番組まで

私は記憶できない。


「ったく。

番組は18時から、美鈴出番は

20時17分、CMあけたら。」


おぉ、さすがだ。

分単位でちゃんと記憶してるのがすごい。

しかもそれが私だけじゃなくて

事務所のタレントほとんど記憶してるから

いったいどんな頭をしてるんだか……


「ほらよ、美鈴。」


「え、なにこれ。」


手渡されたのは赤い紙袋。

ちょっとだけ大きめな。


「クリスマスプレゼントだな。」


「え!うそ!開けていい!?」


「あぁ。」


と、中を見ると

茶封筒と、ファイルと手帳だった。


「……これ仕事じゃん…」


とりあえずファイルの中を確認すると

これは完全に仕事のことだった。


「美鈴のロゴを作ろうと思ってな。

ライブとかツアーロゴはあるけど

美鈴自身のロゴってなかったし。

それとファンクラブのロゴもほしい。」


「……で、この茶封筒は…」


「あぁ、そっちは上田から預かってきた。

新曲のサンプルだ。」


中を取り出すと、確かに新曲が入っていた。


「…このジャケ写は誰が決めたの?」


「さぁ?少なくとも俺ではねーな。」


なんていうか…今までも違う。

加工とか……

決める人が変われば当然なのかもしれないけど…


「不満があるなら早めに言えよ?」


「なんていうかさ…

もうすこしふんわりしてほしい。」


なんでこんな修正なしみたいな写真なんだ。

もっと加工してよ。

せっかく優しい顔して撮ったんだから

もっと柔らかそうなジャケットにしてほしい。


「背景もなんで赤?

白か薄いピンクがいい。」


「はいはい。伝えとくわ。」


今までずっとお任せにしてきた。

それでも満足なものが作れてきたから。

……でもそれはやっぱり

私と長曽我部さんの趣味が合ったからで

これからはやっぱり自分の意見は

ちゃんと言わないとな…


「……にしてもサンプルできるの早いね?

発売2月でしょ?」


「あぁ、ライブで予約会やるから。

1月1日ファンクラブの予約も始まるし

それまでにジャケットだけでも

決めておきたいんだよ。」


「ふーん、そうなんだ。」


いつも本当に直前だからね。

…でも、30日までにジャケットだけでも

ってことは今回も余裕な訳ではないのか……