「あ、そうだ。
今ここ静かだし録音頼むわ。
入り口でカメラとスマホ電源オフのやつ。」
「あー、あれね。いいよ。」
「それとライブ開始に始まりを合図するやつ。」
「はーい。」
長曽我部さんは鞄から
録音機器とマイクを取り出して
マイクをセットし、私に渡してきた。
こんな簡易的なやつでとるんだよ。
ライブの一部なのに。
ここだけ手抜きでしょ。
「んーと…」
何て言いましょうか。
んー…
「…五十嵐美鈴
カウントダウンライブへお越しの皆様
こんばんは!五十嵐美鈴です。
寒い中、大事な時間を割いて
足を運んでいただき、
本当にありがとうございます。
みんなと最高の時間を過ごすために
スマホ、タブレットの電源は必ずオフに!
お願いします。
私も、スマホの電源はオフです。
みんなもお願いします。
五十嵐美鈴でした!」
……なんかなぁ…
「次はライブ開始のな。」
はいはい。
「…Welcome to COUNTDOWNLIVE
Angel's ladder
By misuzu Igarashi」
ま、こんなもんかな。
「へー、発音はいいんだな。」
「英語はまだ得意だったから。
ってかさ、会場でも始まる前に
撮影禁止とかスマホ電源オフとか
そういう映像流すんでしょ?
あれも私がやりたい。」
「あー、まぁ美鈴がいいならいいけど
最近見た目が残念だしなー」
「見た目が残念って。」
そりゃスッピンだしラフ着だけどさ。
「…じゃあすげーギリだけど
30日、支度が終わったら楽屋で撮ろう」
「あ、それいいじゃん!
楽屋じゃなくてあえてみんなが
後ろでバタバタ動いてるところがいい。」
「はいはい。」
やったね。楽しみ。


