居場所をください。




「……夏音って、親の悪口を言わない子です。」


高橋が静かになったところで

私もそう喋り始めた。


「高校生にもなると、親の悪口を言う子

たくさんいるんです。

親の心子知らずなんて良くできた言葉で

本当に、親の悪口をみんな平気で言うんです。

……ここにいる高橋も。でも、そうやって

ストレスを発散しているのかもしれません。

こんなことを親御さんにいうのは

ちょっと申し訳ないんですけどね。

でも、夏音は私にそれをしませんでした。

夏音が薬に手を出してしまった原因のひとつが

おじさんからのプレッシャーや

ストレスだったとしても

夏音はそれを私にぶつけることはしませんでした。

できなかったと思うんです。

…………私には、親がいないから。

そんな気まで、夏音につかわせてしまった。


きっと夏音は寂しかったんです。

勉強をしなくても愛してほしかった。

……そして、それを誰かに言ってほしかった。

夏音は愛されているんだって

誰かに認めてほしかったのかもしれません。

なのに私がこんな立場だったからそれも言えなくて

夏音の憧れの世界に私は入ってしまって

夏音のそばから離れてしまった。

一番近くにいたのは私だったのに……

夏音が感じていた孤独感に

私が拍車をかけたんです。


……だから、私はやっぱり諦めたくないです。

1度覚醒剤に犯された脳は元には戻らない。

それでも、また前みたいに私に笑いかける夏音を

私はずっと待っています。

夏音が少しでも手を差し出したなら

必ずその手を掴めるように

……私にできることなんかきっとなにもないけど

でも、私も全力で頑張るので

その姿をみてまた夏音に笑ってほしいです。

私は私の場所で、高橋は高橋の場所で

夏音がまた無邪気に笑う日を

私たちは心から待ち望んでいます。」


責任を感じていても仕方ないんだ。

原因がわかったのなら

私たちが夏音にできることは

離れていてもそばにいてあげることだから。