「夏音がアイドルになりたいと言ったのは
まだ5歳くらいの時だった。
まだ5歳。夢みる時期も大事だと思った。
広げられる可能性は広げてやりたかった。
だから、小学生になってから
Aプロのスクールへ入れたんだ。
だけど夏音が拾われることはなくて
結局やめることになった。
次に可能性を広げるためには勉学に励むこと。
だから私は、中学生の夏音に
夢など諦めて勉強しろと厳しくいってきた。
その結果が、あの事件だったんだろう。
……高校に入ってから、
正直夏音の様子がおかしかった。
中学までは大人しくて優しくて、
本当にかわいい子だったんだ。
なのに、高校に入ってできた彼氏が瑠樹くんで
しばらくしてデビューした五十嵐さんをみて
夏音の付き合っている君たちが、
夏音を変えてしまったんだと恨んだこともあった。
……だけど、違った。
夏音を変えてしまったのは私だった。
本当に申し訳ない。
二人にも…辛い思いをさせてしまい
本当に申し訳ない。」
おじさんは、声を濡らして
頭を下げた。
「頭を、あげてください。」
そんなおじさんになにも言えない私のとなりから
そんな声が聞こえてきた。


