そしてリビングへと通されると
なんとも重い空気が漂っていた。
しばらくして、誰もなにも発しない重たい空気を
おじさんが破った。
「…悪かったね、五十嵐さん。
事件のこと、瑠樹くんのお父さんから聞いたよ。」
「あ…いえ」
大丈夫ですとか、そんな言葉を返すことは
私にはまだできなかった。
まだ許すことはできなかった。
「私は、夏音の何を見てきたんだろうな。」
そんなおじさんの声も
誰も拾うことはできなかった。
「……夏音が薬に手を出したのは
私たち親の責任だ。」
「…どういう意味ですか?」
この重たい空気でも、高橋は
怖じけずに聞き返した。
「……夏音が覚醒剤で逮捕されたと聞いたとき
私は夏音を責めたんだ。
どうしてそんなものに手を出したんだ、って。
そしてら夏音は…あれがあれば寝なくて済むの
そう言ったんだ。
寝ないで勉強できるんだって。
お父さん、喜んでくれたじゃない、って。
そんなになるまで私は自分の娘を
ずっと追い詰め続けていたんだ。」
……そう、だったんだ…


