なんてやいやい言いながら歩くこと10分
久しぶりに夏音の家へと来た。
「…なんか、ちょっと怖いね。」
「ビビってんなよ。
だいたいお前はいいだろ。
俺なんて別れたくせになに来てんだよって話。
さっさと行く。」
高橋はそういって躊躇する私に構わず
さっさとインターホンを押した。
「ちょ、まだ心構えが!」
「知るか。」
……なんつー男だ!ったく!
「はーい」
なんて声と同時にドアが開き
その内側にいたのは
「…あれ、美鈴ちゃんに瑠樹くん…」
夏音のお兄さんだった。
「どうしたの、二人揃って…」
そんな風に戸惑うお兄さんに
私は深く頭を下げた。
そして間髪開けず
「夏音が釈放されたと聞きましたので
話がしたくて…」
「……夏音ならいないよ。」
「え?」
「そのまま母さんが施設に連れていった。
それに…夏音はかなりの鬱状態らしくて
俺も会えないみたいだし。
それが副作用なのかはわからないけど…」
「そう、ですか…」
前とは違い、元気のないお兄さんと
玄関先でそんな話をしていると
「よかったら上がってください。」
中から、はじめて見る男の人が出てきた。
「五十嵐美鈴さん、初めまして。
夏音の父です。」
あ、夏音のお父さん……
すごい真面目そう…
「瑠樹くんも、久しぶりだね。」
「お久しぶりです。」
「…父さんもそういってるし、どうぞ。」
「じゃあ…お邪魔します…」


