居場所をください。




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「じゃあお先にねー!お疲れさまー!」


午後3時

私はみんなより早く倉庫を出た。

打ち合わせもたくさんして

たくさんたくさん踊った。


流れが一気に変わったからね。


「化粧は?すんの?しねーの?」


「もちろんしますとも!」


そして佐藤さんが今日は来ないのか

また長曽我部さんの車に乗り込んだ。


「沖野さんのCDは?どうすんだよ。」


「んーー

一高までどのくらい?」


「30分くらい。」


「じゃあ流して!化粧しながら聴く!」


ということでCDを長曽我部さんに渡し、

私は鏡をセットして化粧を始める。


車の中でもできるようになってしまった。

もう慣れだね。すごいね。


「動くぞー」


「はーい。」


そしてCDが流れはじめて


"最後の僕の願いは

僕の歌声が君にずっと届くこと"


アカペラから曲はスタートした。


「あー、なんか最初から泣きそう。」


「あっそ。」


そんな冷めた長曽我部さんの声と共に

曲は思ったよりも明るく流れ

サビは明るいのに少し潤んだような声が

聴き手にも涙を誘った。


"共に過ごした時間 その生き甲斐は

君の笑顔 君の声 そして君からの愛

共に歩いてきたこの道とはお別れ

だけどもそれは悲しきものではなく

明るい明日のために


胸をはって言おう 君は僕の

最高の友だよ"


友、か……

…そういえば、沖野さんはいつだって

応援してくれる人のことを

ファンだとは言わない。


その心は、二番へと続いていた。