「…はよ。」
「あ、おはよ。早いね?」
パソコンを立ち上げ、
さぁ、仕事をしよう!と腕捲りをしたところで
貴也が寝室から出てきた。
「ベッド入った形跡ねーけど
ちゃんと寝たのかよ。」
「あ、うん。寝たよ。
貴也の曲聴いてたら
いつの間にかここで寝ちゃってたよ。」
はは、なんて笑ってみたけど
貴也は決して笑おうとはしない。
「…少しでもいいから、
ちゃんと横になれよ。
忙しいときこそちゃんと休めよ。
倒れたらどうすんだよ」
そうやって心配してくれる貴也の表情は
いつも以上に真剣だった。
「…ありがと。
次からは気を付ける。」
「…飯作る暇あんなら寝ろよ。
別に、完璧な彼女でいる必要はねーよ。
……俺にはもう美鈴しかいねーんだから
頼むから無理すんなよ。」
貴也からの切なる思いは
私の胸にグサッと刺さった。
永遠の別れというものと
向き合ってきた貴也の気持ちは
私にはわかってあげることができない。
だからこそ、孤独というものは
いっぱいわかってあげたかった。
「……あったかい。」
だから、私は貴也に抱きついた。
私たちはもう独りにはならないんだって
…ひとつになることはできるんだって
そんな想いを、貴也と共有したかった。
「今年もあと10日だね。
……あと少しだね。」
「…そうだな。」
「来年の絵馬はなんて書こうかな。」
「書かなくていいよ。
もう、美鈴は書く必要がなくなるから。」
「え?どういう意味?」
「今はわからなくて良し。
それよりもう7時だし、支度しなくていいわけ?」
「あー、そうだね。
ご飯にしよ。」
……絵馬、か。
"居場所をください。"
前はそんな風に書いたっけ。
私にとっての"居場所"は━━


