なんとなく、貴也の声が聞きたくなって
沖野さんの歌から、貴也の歌へ変更した。
イヤホンじゃなくて、小さな音で。
……あと、10日か…
長曽我部さんがいなくなる。
それが寂しくてたまらないのに
怖くてたまらないのに
そうやっていつかくる別れのために
こうやって必死になって頑張って
誰よりも怖がっていられるのは
私が幸福者だからなのかもしれない。
前はそんなことなかったから。
誰かが私から離れていくとか
そんなことに無感情だった。
すべてがどうでもよくて
そもそも、そんな別れがあることを
私は知らなかった。
寂しくて、怖くて…
そんな風に思えるのはきっと
大事なものを手に入れたから
……なんだよね、きっと。
だから、怯えたくないよ、私は。
失う怖さのために
手にいれることをやめることはできないよ。


