居場所をください。




「ほら、始まった。」


「あ、ほんとだ。」


やっと見れた貴也の姿。

そして隣で愛妻弁当を食べる佐藤さんを横目に

私もバーガーをパクついた。



『今日のゲストは可愛いと大評判

松野貴也くんでーす!』


『よろしくお願いしまーす』


うん、かわいい笑顔だ。相変わらず。

これは元々の顔だからすごい。


「貴也ってキャラ変するんでしょ?」


「そうそう、高校卒業と同時に

大人路線にしたいから

今は徐々にね。」


まぁ、確かに長く生きていくためには

いつまでも可愛い子役イメージから

抜け出さなきゃだもんね。


「でも、前はこういう安い仕事

絶対引き受けてくれなかったから

戻ってきてから本当変わったんだよね。」


そうだよね、本当。

全然変わらないところも多いけど

なんていうか…庶民的になった。少し。

私と一緒に安い服も着てくれるし。

これもバラエティだし…


「これ一時間?」


「そうだよ。

しかもCMほぼないから

けっこうハードなトーク番組だよ。

Vもないしね。」


「へぇー…確かにめずらし。」


こういう仕事は本当に

引き受けてこなかったもんな。