居場所をください。




「美鈴ちゃん、俺も見たいから

ひとつ貸してくれない?イヤホン。」


「あぁ、うん。どうぞ。

……あれ、佐藤さん今日はお弁当なんだ。

しかもまー彩り綺麗な。

絶対彼女からの手作りだね。」


「そうだよ、悪い?」


「私からのお弁当が余っちゃうじゃないですか。」


「別にいいでしょ?持って帰れば。」


「私と咲さん、どっちが大事なんですか。」


「……そんなの、比べられるわけないだろ。」


そんなやりとりを真顔でやりあってるから


「………はは、おかし。」


佐藤さんが先に限界を迎える。


「だって佐藤さんが最初にのってくれたから。」


と私も笑えてくる。


こんな風に適当な会話

佐藤さんとするのも初めてだ。

ちょっと距離…近づいた、かな?


「しかも私のお弁当とかいいながら

美鈴ちゃんはお金だしただけで

選んだの俺だからね。」


「あ、そうなの?

知らなかった~。」


みんなが食べてるケータリングは

佐藤さんのセンスなのか。

毎日美味しくいただいてるよ。