居場所をください。




「…美鈴、本当に人間らしくなったよな。」


ようやって、思いっきりダイブしたのに

私の肩に手を回してくれた。


「もともと人間ですけど。」


「最初はもっと感情なかったろ。

冷めきった顔してたし。

本当に変わったよな、美鈴は。」


……だって、貴也もひどかったもん。

特別貴也には冷たかったし

今は特別貴也には甘いんだから

違って当たり前だよ。


「……でも、貴也だって変わったよ。」


「は?…俺も?」


「だって、今は仕事楽しそうだもん。

私の前で台本読むなんてはじめてだよ?」


「……そうだっけか。」


「そうだよ。

それに、お母さんが亡くなってから

脱け殻になったんでしょ?

やっぱり貴也も人間らしくなったんだよ。

……でも、貴也のおかげかな。」


「長曽我部さんじゃなくて?」


「……まぁ、それもあるけど

でも長曽我部さんだけじゃないよ。」


「…そうだな。

まぁ俺が変わったなら

美鈴のおかげだろうけど。」


「え、ほんと?

ならよかったー。」


ま、貴也のためになれてるなら

それでよかった、かな。


「寝るか。」


「うん!

おんぶしてってー。」


「甘ったれんな。」


「あ、そういえば貴也

暗いブラウンにしたんだね。髪の毛。」


「あーまぁな。

黒だと次染めるときに

色抜けないからって。」


「きれいな色してる。

似合ってるよー。」


「サンキュ。

それより早く立て。行くぞ。」


……ほんと、こう見ると

貴也も大人っぽくなってかっこよくなったな。

これから路線変更するみたいだし

どんどんかっこよくなっていくんだろうなぁ。