居場所をください。




「……で、なんで私は

今日ここに呼ばれたんでしょうか…」


わざわざ私の分のご飯まで作って……


「いただきまーす」


そんな私の問いは無視して

弘希はご飯を食べ始めてるけど。


「ま、美鈴も食えよ。

話は飯食いながらでも。」


話って。

やっぱり話があるのか。


……どうせ、結婚するとかでしょ?

そんなの、私に言わなくていいんだけど。


「……いただきます。」


とにかく食べないと進まないから

私は手を合わせてからお箸に手を伸ばした。


「とりあえず仕事の話からするけど」


え、仕事?そっち系?

わざわざこのメンバーで食べてるのに?


「今年で美鈴も高校卒業だろ?」


「うん。」


「貴也も18になったわけだし」


「うん。」


「結婚とかまだするなよ?」


「ゴホッ…は…な、なに…」


なにを言い出すんだ、この人は……

なにかと思えば……


「だから、貴也も結婚できる年齢になって

学生も終わるからって

まだ結婚とか考えるなってこと。

美鈴はまだデビューして2年だし、

結婚したら子供とかだってできるかもだし

そしたら美鈴、ツアー回れないだろ。」


「……はぁ…

いや、でも貴也とそんな話したことないけどね。」


「万が一、だよ。」


「でも逆にさ、何歳になったって

妊娠したらツアーは無理でしょ。

何歳になったら妊娠していいの?」


「それ言われたら困るけど

でも5周年とか10周年とか

節目の年はダメだ。

一番ダメなのは20歳のときな。

貴也は20周年でその翌年が

美鈴の5周年になる。

そのタイミングで妊娠するのが最悪だな。」


「最悪って……

大体、結婚相手が貴也だなんて

まだわからないと思うんだけど。」


「それはそれで事務所としては困る。

できれば別れず結婚して

離婚もしないでほしいところ。」


「……私の人生も貴也の人生も

事務所に握られてるわけ?」


「まぁ事務所の方針だから。」


なんだそれ……

どんだけ自由がないんだ…