居場所をください。




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「お願いしまーす」


「おう、五十嵐。

なんか企んでるらしいな?

新しい楽譜が届いた。」


「あー、はい。

長曽我部さんには内緒系なので

内密にお願いします。」


「まぁ別に俺は会わないしな。

とりあえず腹筋からな。」


「はーい。」


もう言われる前からその場所で

スタンバイしてるよ。

もはや一時間は歌わせてもらえないの

ちゃんとわかってますからね。


「あの、先生。」


「なんだ?」


腹筋をはじめてからなら

なにを話そうが先生はなにも言わない。

話すことで有酸素運動になるからなのかな。


「小春ちゃんのレッスンは

どうして断っているんですか?」


「長曽我部に聞いてこいとでも言われたのか?」


「まさか。

長曽我部さんはそんなずるいこと

するわけないじゃないですか。

ただ単に私が不思議に思ったからです。

歌は上手だし、歌い方に多少の癖はあるものの

嫌いだからと言って先生が断るとは思えなくて」


この人はそんなことで

人を選んだりはしない。絶対に。


「つまんねーんだよ、あいつ。」


………つまらない?え?