居場所をください。




「はぁ~、にしても

高橋のバイオリンが最高すぎた。」


「はぁ?まだいってんの?

だいたいあんなん、やってるやつなら

誰でも弾けるわ。あんくらい。」


「えー、そう?

あんな感動した音楽初めてだけどね。私は。」


「大袈裟なんだよ。」


全然大袈裟でもなんでもないのに。


「…私のライブに出ない?」


思いきってそんなことを言ったのに

勇気を出していってみたのに


「………ばっかじゃねーの?」


本気であきれた顔で

呆れた声でそう言われてしまった。


「まだ18だし、これからレッスン受ければ

まだまだチャンスはあるよー。」


「俺はバイオリンが好きな訳じゃねーよ。

別に努力して腕伸ばそうなんて思わねーし。

それにそんな安定しない職に就きたいなんて

これっぽっちも思ってねーよ。」


「うわー、ちょっと私に

喧嘩売ってるじゃないか。」


「美鈴はもう一生分の金

稼いだんだからとりあえず安定だろ。

そっちの方が羨ましいわ。」


………一生の額ねぇ…