「牙がないライオンなんて
ただの猫なんだからよ。
気分屋で、冷たかったり甘えたりする
ただの猫だよ。お前も。」
高橋は私にそういって、
その場にしゃがんだ。
「さーてと、いくら集まったかな~」
………え?
「美鈴も数えるの手伝えよー」
………結局金か、こいつらも…
っていうかなんで私まで。
………ま、いっか。たまには手伝うか。
「んじゃ私は紙幣集めるから
高橋は硬貨ね。」
「は?ズル!」
一高での思い出なんて
なんにもなかったはずなのにな。
こんなところ、大嫌いだったのにな。
どうして私の周りには今
たくさんの人が集まってるんだろう。
どうして私は今
こんなに楽しいのに
涙が溢れそうなのかな。
………わかんないや、私には…


