「お前も、みんなでひとつのステージ
作り上げてるじゃん。
感動して、涙を流してるやつなんて
美鈴だけじゃねーよ。」
「………違うよ。
私たちのとは全然違う。
私たちはお金のためが一番だもん。
こうやって、思い出のために
みんなでなにかするって
私には何一つ残ってないから。」
利益とか関係なしに
みんなで頑張れるのは
本当に素敵だと思った。
無邪気に笑ってるみんなが
心の底から羨ましくなった。
「なら、今日ひとつ残ったじゃん。」
「………え?」
「美鈴がいなかったら
きっと俺あそこ立ったまんま終わってたし。
俺らに頼まれて、仕組まれて金を入れたなら
もう俺らの仲間じゃん。な?」
高橋はそういって、クラスのみんなの方を見ると
クラスのみんなは笑っていた。笑顔だった。
「美鈴、一高にはあんまいい思い出
ないみたいだけどさ
一高のやつらはけっこう美鈴のこと
応援してたりするんだから
あんま毛嫌いすんなよ。
ま、それは美鈴が芸能人だから
ってのもあるかもだけどさ
それでも美鈴が変わったのは確かだから。
真っ正面からちゃんと見れば
向き合えない相手なんていねーんだよ。」
………高橋…
もしかして、去年私をゲストとして
ここに呼んだりしたのも
私に、ここでのいい思い出を作らせるため、
………だったのかな…


