居場所をください。




「って、いきなり学ラン脱ぐのかよ」


「暑いの嫌いだから。」


とりあえず私は上下とま

男子制服を脱いだ。


動きにくい。


「で、どうだったよ。五十嵐。

すっげー練習したんだよ。」


と先生は私の鞄を持ってきた。


「………すごく、よかった。

大袈裟でもなんでもなく本当に

心の底から感動しました。」


どれくらい、それが多くの人の伝わったかは

わからないけれど

でも、私の胸にはグサッと刺さった。

………ううん、染み込んだ…

心が暖かくなった気がしたんだ。


「…みんなでひとつのことをすることが

こんなにも素晴らしいことだって

私はやっと知った気がする。」


あんなにみんなをバカにしてきた私だけど

今は、本当にみんなが素晴らしく思えた。

本当に。


「でもそれ、美鈴もいつもやってんじゃん。」


「え?」


感動して、また涙が出そうになった私に

高橋がタキシードを脱ぎながらそう言った。