━━━━━━━パチパチパチパチ…
気づけば、私の目には
涙がたまっていた。
理由はわからないけど
演奏を終え、大きな拍手に包まれ
そこで私はやっとこの涙に気づいて
流れないようにと必死だった。
そしていつのまにか、
高橋の前のバイオリンケースには
たくさんのお金が投げ込まれていた。
「ありがとな。」
ボーッと、その場から動けなくなっていると
高橋が私の頭に触れた。
「なぁ、写メ撮らね?」
「………え、あぁ…
うん。撮りたい。」
早々に撤収していくみんなとは対称的に
高橋だけが最後までここに残って
投げ銭が投げ終わるのを待っていた。
「んじゃ颯太よろしくー。
全身頼むわ。」
「はいよー。行くよー。」
まだ人だかりがおさまらない中、
私は高橋と写メをとった。
そしてようやくここで気づいた。
いつの間にか、ここには
たくさんの人が集まっていた。
「………すごいね。」
「なにが?」
「音楽でこんなにも人を魅了させたことが。」
学園祭の出し物で、ここまで多くの人の
心を掴んだものは今まであっただろうか。
「………すごく、キレイだった。
高橋の音。感動した。」
「は?大袈裟。」
…ううん、決して大袈裟ではない。
そのくらい、本当に、とてもキレイだった。
「それより、さ………」


