高橋が構えたから私が一歩下がると
高橋は力強く弾き始めた。
その音がとってもキレイで
予想を遥かに越えた音で
私は驚愕をした。
こんな受験生の癖に金髪にしてるバカが
こんなに綺麗な音が出せるだなんて
誰が予想できたことか。
私はまばたきをすることも忘れ
高橋の演奏を見入ってしまった。
「めっちゃうまいじゃん。」
そう言って近づいてくる3人に気づくまで。
「静かにして。」
でも、それどころじゃない。
バイオリンの生の音ははじめて聴いたけど
こんなにも綺麗な音なのかと
感動してきた。
フラッシュモブなんかじゃなくて
高橋の演奏をソロで聴きたいくらいに。
………そんなことも束の間
重ねられた音を聴いて
私はまた胸を締め付けられた。
管楽器の綺麗なハモりが
高橋のメロディを邪魔してない。
きれいに重なっていて言葉にならないキレイで…
さらにそれに重なる声が
とてもキレイだった。
聴いたことのないアメイジンググレイス。
他では聴くことができない
独特なアメイジンググレイスだけど
全く否定できないくらいキレイで………


