居場所をください。




「おー、ぶかぶかだな。」


「当たり前でしょ。

で、ズラは?」


「あぁ、これ。」


………ったくなんで今日まで

ウィッグをかぶらなきゃいけないの…


「………よし、いいかな?」


男装なんて初めてだよ。

似合ってんのかな、これ。


「ねぇ、髪の毛変じゃない?

ちゃんとかぶれてる?

………おーい、朔也?」


「………え、おう!かぶれてる!」


…なに。変なの。


「あ、あとこれ。一応ダテメ。」


黒縁か。

これならあんまり抵抗ないや。


「よし、オッケーか。」


「んじゃ、バッグはここで預かるし

貴重品だけは持ってけよ。」


と、とりあえずお財布、スマホ

キーケースをポケットにいれて

あとは先生に渡した。


「タオルしか入ってないけど

お願いします。」


「あ、おう。」


「ちなみに岳人たちには

演奏が始まったらすぐに駆けつけるように

まぁ仕掛人をやってもらうから。

とにかく人が集まらないと

みんな集まってこねーしな。」


「…はいはい。

じゃあ私は一人寂しく

お金をいれるわけね。」


「そ。

とりあえずここを出て、

一旦カフェの方行って。

そっから瑠樹の方な。」


「はいはい、わかりましたよ。」


とにかくさっさと終わらせて

学祭を回りたかったから

私は用意されてたサンダルに履き替えて

体育倉庫を出た。


まったく、裾長すぎだし…