「ちょい、あれ見て。」
「………あれ?」
朔也が私の腕をつかんだ。
掴んだよ。
この人も平気だよ。
………基準がわからないなぁ…
高橋はダメだったのに。
まぁいいや。
「ん?なに?」
朔也が指差すのは、体育倉庫から見える
グラウンドにポツンと立つ、男の人。
その回りには誰もいなく、
本当に、ポツンと。
「あれ、瑠樹なんだよ。」
「え、高橋?
………っていうかなんでタキシード?」
あいつは新郎か。
と突っ込みたくなる。
「一高って吹奏楽部強豪じゃん?」
「へー、知らなかった。」
「いや、そのくらい知っとけよ…
………まぁ、それで吹奏楽部員が
この学校は多くてな
うちのクラスは半分以上吹奏楽部なんだよ。」
「うん、それで?」
「だから、せっかくならってことで
瑠樹の案でフラッシュモブをやろう
ってなって、今年の俺らのクラスは
フラッシュモブをやることになったんだよ。」
「フラッシュモブ…って、あれでしょ?
プロポーズとかするときに
周りに協力してもらってやる
サプライズ的なやつでしょ?」
「そうそう、それ。」
………っていうか、
朔也と高橋って同じクラスなんだね。
はじめて知ったよ。


