居場所をください。




結局悩んで悩んで

私はいつも通りなありきたりな

"いつもありがとう"とかしか書けなかった。


「ふぅー、これで最後だ。

………ん?」


最後、手にしたCDの付箋には名前と、

"美鈴ちゃんは今どんな景色を見ていますか?"

というメッセージが書かれていたから

"あなたと同じ景色を

あなたと同じ速度で見ています"

という返事を書いた。


生きてる場所は違っても

私は特別な人間なわけではない。

私もみんなと一緒

よくある代わり映えしない景色を、

早くもなく遅くもない速度で

いつも眺めている。

いつもの道に、いつもの建物

いつもの人たち。


"だけど、毎日なにかを探しています"


そんなよくある景色の中で

小さな花でも石ころでも

いつもと違う景色を求めて生きているんだ。


「………ん、出来ました。」


最後の一枚を佐藤さんに手渡し、

ペンも返した。


「うん、お疲れさま。

じゃあ俺は行くね。

これ、届けてくるし。

明日で休みも終わりだから

二人ともちゃんと休むように。

明後日は貴也が9時から稽古

美鈴ちゃんは9時から打ち合わせなんだけど

貴也は自分で行くよな?」


「あぁ、別にいいけど。」


「んじゃ美鈴ちゃんは俺と行こう。

たぶん社長から明日か明後日くらいに

俺のところに連絡が来るから

ちょうどいいしね。


そのあとはライブの練習もあって

長曽我部さんがずっといるから。」


「うん、了解でーす。」


「じゃ、俺は行くわ。」


佐藤さんはそういって立ち上がり

亜樹から預かったものをもって

部屋から出ていった。


「………さてと、食器洗おっかな。」