私の質問は見事にスルーされ、
私は静かにご飯を食べた。
貴也はもともと喋る方でもないし
佐藤さんもあまり喋る方でもない。
だから食事中はかなり静かなんだけど
美味しいご飯を目の前にして
私も自然と静かになっていた。
「ごちそうさまでした。」
食べ終わるのが一番遅いのは
当然のことながら私が最後。
貴也はもう向こうで佐藤さんと何かしてる。
久しぶりなのに、貴也はかなり冷めていた。
「あ、美鈴ちゃんも来て!」
私が食器を片付けていると、
佐藤さんに呼ばれたから
私は佐藤さんもとへと向かった。
「なに?」
「はい、座って。
これペンね。美鈴ちゃんのはこれ全部。
サイン以外のことを書いてね。」
「………もしかしてこれは亜樹の…」
友達に言われて預かってきた、あれら。
それに貴也はひとつひとつに言葉を添えていた。
「そう。
美鈴ちゃんは20個くらいあるかな。
夕方出掛けるなら急いでね。」
佐藤さんは本当に、優しい笑顔で
怖いこと言うんだよね。
「………頑張りますか。」
私はそういって、ペンのキャップをはずした。


