ドアを開けても、シーンとした廊下。
だけど、玄関の定位置におかれたキーケースで
この部屋に貴也がいることを示していた。
私はそっと廊下を歩いて、リビングのドアを開けた。
だけどすぐには貴也の姿は見つからなかった。
でも、音のする方を見ると
「………美鈴?」
貴也が私を見て固まっていた。
「………ただいま。」
私はそういって、荷物をそこにおいて
キッチンで料理をしてる貴也のもとへ向かった。
「ただいま。」
もう一度そういって、私は貴也に抱きついた。
「…おかえり。」
そういって貴也も私を抱き締めた。
「…………大丈夫か?」
「言ったじゃん。
貴也は怖くないよ。」
貴也は怖くない。
そばにいても、くっついてても。
…私がダメなのは腕だけだから。
それでも、今なら平気な気がする。
帰るところがある。
待っててくれる人がいる。
私がずっと望んでいたものを
この人が叶えてくれたから。
それが、手紙の返事で
ちゃんとわかったから。
「ん、触ってみて?」
少し身体を離し、私は腕を出した。
その腕に、貴也は恐る恐る触った。
触ったんだ。
「………ほら、大丈夫じゃん。」
私がそういうと、貴也はまた優しく微笑んだ。


