居場所をください。




それから私と佐藤さんはまたあの部屋にこもり

ひたすらピアノに向き合っていた。

佐藤さんにはそんな様子を動画で撮ってもらった。

MVに使えそうなら使おうかと思って。


つまづいたら長曽我部さんの動画を見て

貴也の曲を聴いて、佐藤さんに意見をもらう。

全然うまくいかなくて頭抱える時もあるけど

"ひとりじゃないから"私は今、一人で頑張ってる。

誰かのために何かすることがどれだけ大変か

私にはまだわからない。

だから長曽我部さんのために曲は作らない。

私は、私のために長曽我部さんに伝えたい。

私は私のためだけに叫ぶんだ。

そうすればきっと、長曽我部さんにも伝わるから。


そうだと信じてるよ。


「━━━よし…できたぁー!」


「お疲れさま。」


そして宣言通り、私はお昼前に

作曲を終わらせた。

譜面が完成した。

決して難しい曲ではないけれど

それでも私らしく、五十嵐美鈴らしく、ね。


「でもこれ、どうするの?

譜面のまま社長に出せばいいの?」


「んー、と

じゃあピアノだけとりあえず弾いて録音。

そのあとそれを聴きながら声だけ録音して

パソコンで編集して提出かな。」


「ふーん、なるほど。

じゃあ佐藤さんお願いします!」


「はいはい。

じゃあ始めるよー。」