「……じゃあさ、
ひとつだけわがまま言っていい?」
「はは、もちろん。
なに?」
「ハンドベル、用意してほしいの。」
「ハンドベル?何に使うの?」
「もちろん、演出に決まってるじゃん。
お仕事です。」
「はは、そっか。
わかったよ。」
「で、みんなに練習させておいてね。」
「え、みんな?」
「あのくそ真面目な仕事人間に
絶対涙流させてやる。」
「…………言い方。」
「最高の離任式にしてやるんだ。
だから、佐藤さんも頑張ってよね。
佐藤さんが頑張ってくれなきゃ
絶対成功しないんだから。」
「……はは、わかったよ。
俺も忙しくなるなぁ。」
「貴也は放置でいいよ。」
「だから言い方。」
「年末はドラマより特番だもん。
絶対私の方が忙しいよ!」
「…まぁ、それ言われると
その通りすぎるんだけどね。」
どうせ貴也は稽古だろうし。
もう車もあるからひとりで行けるだろうし。
もうこうなったら佐藤さんをいっぱい
働かせてやる。


