居場所をください。




「うん、了解。」


パソコンの次はボイスレコーダー。

これは私の声だから本気で恥ずかしい。

レコーディングの何倍も恥ずかしい。

なんせ声しか入ってないから。


だけど社長は真剣な顔で

楽譜を見ながら

とりあえず一回聴いたところで

ボイスレコーダーを持っていたてを下げた。


「…一言いい?」


「え…は、はい…」


なに…怖いんだけど…


「……これ、車の中でとったでしょ。」


「へ?

…あ、そうですけど…どうして…」


「これでもレコード会社の社長だからね。

耳はいい方なんだよ。

歩行者用信号の音楽が微かに入ってる。」


「あぁ…なるほど…

すみません、なんか適当で…」


「……ほんと、君の歌はすごいよね。

座ってて、車の振動もあるのに

まったく声もぶれてなければ

高い声もしっかり出てて、澄んでる。

ビブラートも綺麗だ。

本気じゃないのにすごいよ、本当。」


「……なんだ、ほめられてるのか…」


「はは、そりゃそうでしょ。

最初ひかるくんが連れてきたときも

16歳なんて信じられないくらいだったし。

16歳だとさ、少しクセのある歌い方

する子もいるのに、美鈴ちゃんは

本当にとっても綺麗だよね。

クラシックも歌えそう。」


「いやいや!私音域狭いんで絶対無理ですよ。

……それより、これどうですか?」


「まぁ俺だけでは決められないけど

俺的にはいいかな。

なにそり、この短期間でここまで仕上げたね。」


「舞い降りてきたんです、突然。

いろいろ気づかれたっていうか…それで。」


ひとりじゃないってわかったから。