━━━5時間後
「美鈴ちゃん、今日はそろそろ終わろう。」
「はーい。
……ん~っ、はぁー
久しぶりにこんなに書いた気がする。」
20時、今日はこれで終わり。
途中ご飯休憩はとったものの
あとはずっとピアノに向き合っていた。
そんな様子すら、佐藤さんは
カメラに収めていた。
もちろん、今も。
佐藤さんはよくカメラを回す。
一体いつ使うんだろうなんて思うけど
きっとまたいつかくる"使い時"用に
いっぱいとっとくんだろうなぁ。
私が無茶言うから。
「どのくらいできた?」
「半分以上はできたかな。
明日には出来上がるといいな。」
「美鈴ちゃんはどうしてピアノできるの?」
「小学生の時ね、
親が交通事故でなくなった子に教わったの。
私と同い年なんだけど
お兄さんが16歳になったら
一緒に施設を出ていったよ。
お金がある子だったしね。」
「へぇ…兄妹揃ってきてたの?」
「うん、そうだよ。
藍子と入れ替わりだったかな。
今はどうしてるのか全然わからないけど
あの頃までかな、仲良かったのも。
ちなみにそのお兄さん、私の初恋。」
「へー、あそこで好きになる場合もあるんだね。」
「はは、そりゃあるよ。
かっこよくて頭もよくて優しくてさ。
その兄妹は同じ部屋だったから
妹の方のとこ遊びにいくふりして
そのお兄さんと話したりさ。
藍子だって和也に惚れてたわけだし
一緒に住んでるからこそ
好きになることだってあるよ。」
今ごろ、どうしてるのかなぁ
あの二人……


