「ごめん忘れ物!」
「うわぁぁ!!
びっくりしたぁ…」
閉まったドアは
また佐藤さんが勢いよく開けた。
「あはは、ごめんごめん。
これも取りに行ってたんだよ。」
そういって今度私に渡してきたのは
貴也のCDだった。
「……じゃあ、ここの社長の家に?」
「うん。
社長に許可もらいにいったら
俺の許可なんてなんの役にも立たないよ
って言われちゃったけどね。
息詰まったとき、聴くといいって
長曽我部社長が言ってたでしょ?
だから。」
……そか。
だから社長、さっき顔を出しに……
「きっと、元気もらえるよ。」
「……うん、ありがと。
聴いてみる。」
「うん。
じゃあ先にいっとくけど
俺には当たらないでね。」
「は?え、なにが?」
「MV、見ればわかるよ。
じゃあ今度こそいってくるね!」
そういって佐藤さんはまた
部屋から出ていった。
……貴也のMV、か。


