居場所をください。




「お待たせ…あ、社長

お疲れさまです。」


そこに、佐藤さんが戻ってきた。


「お疲れ。

じゃあ美鈴ちゃんまた夜にね。

頑張って。」


「はい、お疲れさまです。」


社長はいったいなにしに来たのか……

……まぁいいや。


「佐藤さん早かったね。」


「うん、まあね。

まだご飯買いに行けてないんだよね。」


「え?じゃあどこ行ってたの?」


「えーと…まずこれ。」


そういって出されたのはUSBメモリー。


「なにこれ。」


「まだ一部だけどね。

頼まれてた長曽我部さんを撮ったやつ。」


「あぁ、この中に動画があるのね。」


「その中に長-1と長-2ってあるんだけど

最近撮ったのは長-2の方になるから。」


「え、じゃあ1はなにが入ってるの?」


「1には俺が今まで撮りためてきたやつで

きっといつか使えるだろうなーと

編集済みのやつ。

もっと撮っていくつもりだったけど

今使ってもいいかと思って。

すでに1時間分くらいあるから

一曲なら余裕で作れると思う。」


「ふーん?」


「きっと、美鈴ちゃんも気に入るよ。」


そう、優しく微笑みながら

佐藤さんは言った。


「じゃあ、今度こそご飯買ってくるね。

会社にもよってくるから

ちょっと遅くなるけど、

なにかあれば連絡してね。」


「あ、うん。わかった。」


そういって佐藤さんは

また部屋を出ていった。


……忙しい人だなぁ。