居場所をください。




「ところでさ、貴也のブログに

亜樹を載せること

なんで長曽我部さん許可したの?

絶対いやがりそうなのに。」


「あぁ、えーとね…

あったあった。これ。」


そういって、また大きなファイルから

1つの紙を出した。


「昨日、これを出版社が持ってきたの。」


えーと…?


"五十嵐美鈴二股か!?
夜道を歩く二人!"


なんだこりゃ。


"以前報道された男子高校生と夜道を歩く五十嵐美鈴…"


「なにこれ。前いとこだって言ったじゃん。」


「まぁいとこだから恋愛感情はない

っていうのが一般的だけど

いとこで結婚する人もいない訳じゃないしね。

長曽我部さんは、こんなの事実じゃないから

載せない方がいいって出版社に言ったけど

まぁなんせ美鈴ちゃんのブログがあれで

貴也のブログで美鈴ちゃんが

家に帰ってないことも知ってるわけで

その行き先がこのいとこの家じゃ

なんかちょっとあれでしょ?

だから先手必勝っていうか

そんときに貴也が長曽我部さんとこ行って

あの写真のせていいか聞いたから

長曽我部さんもちょうどいいわ

みたいな感じで。

貴也のブログ読むと前に何度か会ってる、

みたいなこと書いてあるし

貴也と仲良くて、貴也の合意の上で

いとこの家に泊まってるなら怪しくないしね。

ま、嘘も入ってるけど

でもあの二人、本当に仲良くなったみたいだし

熱愛自体、ありえないわけだし

そんな記事が出回る前に手をうったってとこ。

それ4日後が発売の週刊紙だから。」


なるほどねぇ…

亜樹と熱愛って。ただ歩いてるだけじゃん。

それで熱愛になるなら

今、私と佐藤さんは熱愛だよ。まったく。