そして、私はひたすら
佐藤さんに聞きながら
メロディを決めた。
遅くもなく、速くもなく
少し高めの音で、そして力強く。
「うん、いい感じだね。
いいんだけどこの曲
サビってどこになるの?」
「ないよ。」
「え、ないの?」
「強いていうなら全部サビ?
わかんないけど。
なんていうのかなー
盛り上げどこなんてないっていうか
全部が大事の言葉で
全部が一番な部分だから
あえてサビなんて作らなかったの。
五十嵐美鈴らしい、でしょ?
常識にも流行りにも流されない
私独自の音楽だよ。」
「…なるほどね。
いいかもね。俺は好きだよ。」
「ありがと。」
この曲にはここ!っていうところはない。
曲の流れ、メリハリで盛り上がるところはあるけど
そこだけが大事なわけじゃない。
全部が強く伝えたい私からのメッセージなんだ。
「とりあえずあと日にちがないから
メロディだけでも1日で完成してよかった。
編曲が一番時間かかるから。
早い人でも1週間かかるのに
美鈴ちゃんにはあと4日しかないしね。」
「ま、なんとかなるでしょ。
ってかお腹すいた~。もう23時だよ…」
些か頑張りすぎた気がするよ?うん。


