居場所をください。




「それにさ、今は給与に反映それないけど

それで美鈴ちゃんの利益とか人気が上がれば

俺の給料も上がるし。

結局やればその分金ももらえるってわけ。

美鈴ちゃんはお金のためにやってなくても

きっと、また売れるだろうから。」


「はは、そっか。

売れるといいなぁ…」


「あ、やっぱり売れてほしいんだ?」


「だって、そしたらテレビで歌う機会が

増えるかもしれないじゃん。

あの人は私のCDは聴かない。

だけどテレビなら必ず見るから。」


伝えるには、私がテレビに出なきゃ。

じゃなきゃ、絶対伝わらない気がするから。


「そうだね。

…………俺も、来年からはもっと頑張んないと。

長曽我部さんがいなくなるから。

美鈴ちゃんのこと、長曽我部さんに

任せすぎてきたし。」


「でもチーフマネ新しくつくでしょ?」


「チーフマネっていうのはね

仕事はとってくるけど

基本的には美鈴ちゃんのまわりにはつかないの。

送迎だってしないし。

長曽我部さんは特別なの。

だから俺との移動がかなり増えるだろうし

それに一人で移動もかなり増えると思うよ。」


「そっかぁ…マネージャーさんも大変だね。

……ね、佐藤さんはチーフマネに

なったりはしないの?」


「んー、まぁなくはないだろうけど

俺はずっと現場でいいかな。」


「どうして?」


「俺は貴也と美鈴ちゃんのそばで

サポートしてたいから。

ディスクに座って仕事をとってるより

こうやって二人といた方が俺は好きだから。

貴也と美鈴ちゃんなんてさ

事務所を支える二大巨頭だから

俺は今でも十分楽しいし忙しいし

やる気出るんだよね。

とくに美鈴ちゃんはまだ売れはじめだから

これからもっともっと伸びるだろうし

それを一番近くで見てたいじゃん。」


そうやって楽しそうに話してくれる佐藤さんが

佐藤さんの気持ちが

本当に嬉しくて…………


これからも頑張って売れようと

簡単には諦めないと

心に誓った。