「当たり前だけど、貴也と二人
車に乗ってても怖くはないし
全然いつもと変わらなかったの。
でも、家に帰って貴也に手触られたとき
思いっきり拒絶しちゃって……
全然怖くはないのに、拒絶しちゃって
それで貴也に怖いか聞かれて
怖くないって答えてんのに
貴也に腕掴まれてキスされたら
貴也突き飛ばしちゃってさ。
怖くないはずなのに、掴まれることが怖くて
貴也を思いっきり傷つけちゃって…
それで家出。貴也をもう傷付けたくなくて。
長曽我部さんちには行けないからここ来たんだけど
私ね、亜樹に腕掴まれても全然平気なの。
それがまたちょっとショックで
じゃあなんで貴也はダメなんだよって
自分で自分が嫌になってきてさ。
だから今ね、高橋に腕掴まれそうになって
怖くなった自分に、安心した。」
「なんで?」
「貴也だけじゃないんだなって。
逆に言えば、きっと亜樹が平気なのは
長曽我部さんに似てるからか
血が繋がってるからなのかなって。
もちろん怖くない方がいいに決まってるんだけど
怖くないってことは絶対的安心感みたいなのが
その人に対してあるからだと思うの。
長曽我部さんとかさ。
貴也は怖いってことは、貴也にはそれがない。
それってけっこうショックでしょ?
でも高橋も怖いからさ
もしかしたら私の中で絶対的安心感の批准が
ものすごく高いのかなって。
…………私、貴也に一回置いてかれたでしょ。
その不安はまだ実は残っててさ。
だから貴也は怖いのかなって思って。
でも高橋はいつ呼んでも絶対来てくれる。
なんか高橋相手にこんなこと言うのやだけど
高橋は、私の一番の友達だから。
めちゃくちゃ信用してるし、
本当にこんなこと言うのやだけど
高橋のこと、大好きなのね。」
「なんでいちいち一言多いんだよ。
素直に好きって言えねーのか。」
「うっさいわ。」
「で、続き。」


