居場所をください。




それからは用意してくれた部屋にこもり、

ひたすらパソコンと向き合った。


時間がない。

だけどそれをいいわけにはできない。


直接言えないなら

電話とかメールで伝えられないなら………



「おい、コーヒー。」


「あれ、亜樹じゃん。

まだ起きてたの?」


一人でパソコンに向き合ってたら

いきなり亜樹が部屋へ入ってきた。


「まぁな。

父さんがまだ起きてるだろうから持ってけって。」


「あ、ありがと。

亜樹も早く寝なよ。」


「…………また仕事?」


「んー、まぁ一応。

でも私がやりたくてやってるだけだから。」


「ふーん。大変だな。」


「うわー、亜樹が私を労ってる。」


「はぁ?」


「はは、ごめんごめん。

でも私、歌手でよかったなーって

また、改めて思ったよ。」


「ふーん、よくわかんねーけど。

でも忙しそうなのに明日、

颯太たち連れてきていいわけ?」


「まー長居されちゃ困るけどさ。」


「長居させる気ねーのに

呼ぶ方もどうかと思うけど。」


「だって颯太なら来てくれるでしょ。」


「…………悪女か、お前は。」


「はは、そうかな。

あ、そうだ。

高橋も呼べたりする?」


「あぁ、別に俺はいいけど。」


「じゃあ高橋もお願い。」


「はいはい。

じゃあ俺はもう寝るから。」


「うん、ありがとねー。」