「だいたい高3なんつー時期は

身近な大人をうざがる時期だろ。

素直に近くにいさせてもらえてただけ

喜ぶところだと俺は思うけど。

俺なんて反抗期真っ只中で

親にも兄貴にも反抗ばっかしてたわ。」


「お前は特別にだろ。

俺はもう落ち着いてたわ。」


「ひかるが特別なんだっつーの。

18なんて、大人と子供の狭間で

いろいろ考える時期なんだよ。

美鈴ちゃんなんかとくに、

早く大人にならなきゃって考えるだろ。」


「そうやってずっと考えてきたから

やっと今、俺が子供に戻してんじゃん。

…2年、たった2年間しか

あいつには子供の時期がなかったのかよ。」


もっと、甘えて、頼ってきていいのに。

なんであいつはいつも一人で

歩き出そうとしてんだよ。


「…………なんかちょっとめんどくせーな。」


「うるせーよ。」


「ま、今日はゆっくり飲んでけよ。

明日休みなんだろ?」


「…だな。

おい、樹生。」


「あー?なんだよ。」


「腕相撲しよう。」


「はぁ?なんだよ、急に。」


と言いながら俺らは手を組み合わせた。


「朝まで飲んでくから、

俺が勝ったら樹生のおごりな。」


「え!うそ!まじ!?」


「おい、大和。」


「はいよ。

レディー…」


「なぁ!まじで!?」