『まぁひかるくんならそれが
どういう意味だかはわかると思うんだけど』
「…それで、貴也は?」
『車取りに行った。瑠樹とな。
俺はマンション入り口に置いてきぼり。
とりあえず駅に岳たち置いてきたし
俺はそっちいくつもりだけど
ひかるくんも行くんだろ?』
「………いや、俺は行かない。」
『は?正気?』
「あぁ。
それに相手が吉田夏音じゃあな。
高橋瑠樹ってやつがいるなら十分だろ。」
『…いや、バカになった?
あいつのこと嫌いなやつも
好きすぎてどうしようもないやつも
その女だけじゃないらしいじゃん。
好きすぎて恨みに変わってるやつとか…
あいつ芸能人なんだから
そんなファンがいたっておかしくないだろ。
あの女がただの呼び出し役だったら
美鈴、なにされるかわかんねーよ。』
「…わかってるよ。」
俺はそういって立ち上がって
ベランダへ出た。
「俺、今外へ出るわけにはいかないから。」
弘希にも里美にも
こんな話聞かれるわけにはいかないから。
『…なんで?』
「今里美たちが来てるから。
悪いけど、亜樹たちで探して。」
『本当に良いわけ?』
「あぁ。」
『………後悔してもしらねーからな。』
亜樹はそういって、電話を切った。


