タクシーに乗ってからはなにも考えず 空を見つめてボーッとしていた。 広くはない、見慣れた狭い空。 「あ、そこのマンションの前で。」 「はーい」 ………何度見ても上まで見えない。 この高すぎるマンション 最初は嫌いだったなぁ…。 高いところから見下ろす高層マンションが。 …でも、いつの間にかここも 大好きになってたんだよねぇ… 「1,620円ね~」 「はい。」 お金をさっさと払い、 私はカギでエントランスを開けて 中へ入ってエレベーターへと乗り込んだ。