居場所をください。




外に出ると、薄暗く

灰色の分厚い雲が覆っていた。

今にも雨が降りそうな天気で。


「五十嵐さん、タクシー呼びますか?」


「………あぁ、うん。お願い。」


受付のお姉さんにタクシーを呼んでもらい

私はロビーのソファに座って外を見ていた。


………なんで言わなかったんだろ。

別に長曽我部さんちまでいくことじゃないじゃん。

このまま帰っても良さそうなのに。

もう話聞いちゃったよ。


………15時15分か。

今から向かえば45分にはついちゃうか。

まぁいいや。カギあるもんね。


…もう、長曽我部さんちに泊まって

歌詞を書けと脅されることもないんだ。

貴也とのケンカを利用されることも

体型の事で怒られることもなくなるんだ。

喜べ、私。

鬼から解放されるんじゃん。

喜べ、私。


…………私、大丈夫なのかな…