居場所をください。




「で、どのうどんにするんだよ。」


「んー、無難に温玉おろし。」


「はいはい。」


「え、買ってくれるの?」


「別にこのくらい…280円だし。」


「え、やっす!」


貴也は私の温玉おろしうどんを押すと

そのまま味噌ラーメンのボタンを押した。


「へー、ラーメンなんてあるんだ。

じゃあ半分ちょうだい。」


「はぁ?一口だろ。

なんでそんな多いんだよ。」


「いいじゃん。」


「そんな食えねーくせに。」


と、今度はカウンターに券を出すため

並ぼうと向かったら

私でも見たことある俳優さんがいて

その俳優さんは並ぶことなくカウンターに

券を置いた。


「………なにあれ。」


「さぁ?」


なんで並ばないの?

みんな並んでるよ?


と、私の頭の中は???状態だったから


「あの」


その人に話しかけてみた。


「………え、俺?」


「そうです、あなたです。

ねぇ、どうして並ばないんですか?

さっき私たちも並ぼうとしたら

みんなが列を譲ってくれたんです。」


「あぁ、ここは芸能科だから

基本的に忙しいやつ優先なんです。

だから五十嵐さんや松野さんなんかは

優遇されて当然、なんですよ。」


………なんだそれ。

別に忙しかったら学校来ないのにね。