「貴也お待たせ。
待ってるから着替えてきなよ。」
「おう。」
今度は入れ替わって、貴也の番。
私は佐藤さんと廊下で待機。
「佐々木さんまだだけど、来るよね?」
「もうすぐ来ると思うよ。」
「そっか、よかった。
素っぴんできちゃったし。」
「ちょっと予定より早く着けたからねー。」
髪の毛も顔もなんにもいじってない状態。
恥ずかしいから早く顔を完成させたい。
髪の毛も。
「あれ、早いね?
しかもなんで廊下にいるの?」
噂をすれば。
「佐々木さんおはよ。
貴也と楽屋が一緒で、交代で着替えてるの。」
「え、なんで交代で?」
「そりゃ異性だし。」
「え、でも同棲してるんでしょ?」
「同棲してても着替えは別だもん。」
「……もしかして、まだヤってないの?」
「佐々木、こんなとこでそういうこというなよ。
誰が聞いてるかもわからねーのに。」
「しかもヤってないし。」
「え。」
「……うそ、そうなの?
本当に?まだなの?」
「……いいでしょ、別に。」
なんなの?みんなして。
貴也は奥手なんだよ。ばか。


