居場所をください。




それからも私たちは新人のことを話し、

気づけばもう東京だった。


「なぁ、観覧車寄ってかね?」


「行きたい行きたい!」


「じゃあ寄るな。」


そういって、向こうに見えた

大きな観覧車付近に車を止めた。

二人して帽子をかぶり、髪の毛隠せば

夜だからそこまでバレたりはしないしね。


「うわー、おっきい。

あの遊園地のとはやっぱ違うね。」


「あぁ、あそこもたまにはいいけどな。

行くか。」


「うん!」


時刻はもう21時過ぎ。

いったいこの観覧車は何時までやってるんだろ。


「ところでさ、ずっと気になってたんだけど」


「なに?」


「そのビデオカメラはなに?

デジカメ買ったの?」


「あぁ、そうそう。

まぁ記念にな。」


「と言いつつ、ほぼ私だよね。」


「まぁいいじゃん。」


今日の貴也はずーっとカメラを回してる。

仕事で必要なのかと思ったけど

話も聞いてないし、買ったなら違うか…