居場所をください。




「あ、そういや新人みた?

オーディションのグランプリ。」


「え、見てない!

もう契約したんだ?」


「したらしい。

俺昨日会社であったんだけど、

美鈴の大ファンらしくて、

応援してますっていうわりに、

美鈴を傷つけるなって釘刺された。

新人に。

長曽我部さんが連れてたんだけど

長曽我部さんなんて笑ってたしな。」


「なんで長曽我部さん?」


「新人はまず長曽我部さんに

いろいろ聞くんだよ。

他にいねーしな。人が。」


「へー、そうなんだ。」


「長曽我部さん曰く、

美鈴と会ってみたいってすげーらしい。

もともと歌手になるのが夢だったんだけど

美鈴がいるこの事務所の選んだらしい。」


「あー、歌うまい子か。

隼也がいつだか噂してたっけ。

かわいい?」


「まぁー…ブスではないなって感じ。

ギャルっぽい。」


「ふーん。」


「気になる?」


「……まぁ」


「まぁ俺も隼也が入ってきたときは

同じこと思ったよ。

比べられるけど、いちいち気にすんなよ。

美鈴なら実力あるから大丈夫だよ。」


「……うん。

頑張らないと。」