『プルルル…プルルル…プルルル…プルルル…プルルル………』


貴也のやつ出ねーし。

風呂か?


『プルルル…プルルル…

はい。』


お、やっと出た。


「随分出るのがおせーな。」


『いや、俺もそんな

いつも暇な訳じゃないんで』


まぁそりゃそうだ。

ごもっとも。


『それよりなにか用事ですか?』


「あぁ、

美鈴はもう帰ったか?」


『え?あぁ、はい。さっき。

代わります?』


「いや、いい。

それだけ。」


『は?え、それだけですか?

しかもなんで俺になんですか?』


「あー、いや別に。

じゃあ切るな。」


『はぁ、わかりました。

おやすみなさい。』


………まぁ確かに意味不明な電話だけど。

なんとなく、美鈴に避けられた気がした。


本当に情けねーけど

いつも俺についてくる美鈴だから

たったあれだけのことで

けっこうへこむ。


前に貴也に言われたな。

美鈴のこととなると弱すぎるって。

美鈴と出会ってもう2年以上たったのに

俺はなかなか成長しない。