居場所をください。




「ごちそうさん。

じゃ、俺いくわ。」


貴也はそういって

水を飲み干して立ち上がった。


「美鈴、22時までには帰れよ?」


「うん、わかったよ。

貴也も仕事頑張ってね。」


「おう。

………マスター、今日は隼也の奢りだから。」


「はぁ!?」


カランカラン……


「あはは、ごちそうさま。

隼也。」


「ったく、しかたねーな…」


「隼也におごってもらうなんて

久しぶりだね。」


「ところでさ」


貴也がいなくなった途端

隼也が前のめりになってきた。


「お前らってまだやってないんだよな?」


「は!?

ちょ、そんなこと聞かないでよ。

しかもマスターもいるのに。」


「いいじゃん、やってないんだろ?」


「………まぁ。

ほぼ毎日一緒に寝てるのにね。」


「美鈴ってさ、まだ怖い?」


「は?え、なにが?

その行為が?」


「そう。

前のこともあったし…」


「あー、そういうことか。

わかんないけど

でも貴也なら大丈夫だと思うけどね。」


「へぇ、そっか。」


「………貴也に聞けとか言われたの?」


「や、そういうわけじゃねーんだけど

貴也がまだとか言うから

美鈴が拒否ってんのかと思って。」


「拒否ってるわけじゃないよ。

でもたぶん、貴也がなんとなく

私に気つかってるのはわかるよ。」


「へー、やっぱそうなんだ。」


「まぁ貴也からそういうこと言われたら

ちゃんと伝えるし、

そんな焦るものでもないでしょ。」


「いや、でも相性とか「もう終わり。」


いつまでこんな話をするつもりなんだ

この男は。